〔第6回〕 赤字とエンピツ
指摘には赤字とエンピツがある
校正には、赤字とエンピツといった、2種類の表現手段がある
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その使い分けに明確な基準はない
日本エディタースクールの通信教育のテキストでもある「校正技術」でも、
エンピツは
「疑問が生じた場合の注記や
欄外に訂正以外の伝達事項などを書く場合」
としかない
逆に、エンピツ書きするものとして5項目あげられているが
組体裁の誤りは、赤字とすべき
(「直さない」という判断はありえないので)
自信がないとエンピツにするのか
教育機関でもまともに教えられていないからか
実際には、「自信がないときはエンピツ」
とする「校正者」も少なくない
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これは「校正者」の責任逃れ
エンピツでも自信がなければ出すべきではない
自信を持って指摘するためには
十分な根拠を用意する必要がある
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そのためには、相手の意図をくみ取る能力が求められる
赤字とエンピツの違い
受け取る側にとって、赤字とエンピツの違いは
明確に区別することが大切
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説明を求められても
「なんとなく」「自信がないから」では答えにならない
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規準を明確化する必要がある
赤字にすべきもの
「判断の余地がなく直すべきもの」は赤字にすべき
(体裁上の指摘も含めて)
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エンピツだらけだと重要な指摘が埋もれてしまう
受け取った相手の負担も増す
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校正者にとって「負担」であっても、
根拠をもって指摘するのは、最低限の責任
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そのためには、相手の意図をくみ取る力が求められる
執筆・編集、組版・コーディングなど、
校正の前後工程にかんする知識も重要
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赤字でも、根拠を示した方がよい場合もある
「未確認」とする場合
固有名詞の表記など、
必ず確認しなければならないことも、少なくない
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しかし、確認しきれないところも出てくる
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その場合、一般的ではないかもしれないが
「未確認」と伝えることが重要
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十分な確信が持てない場合も
どこまで調べられたのか、伝えておくことは必要
確認できたところに、チェックマークを入れる
これは、自分のためでもあり、相手のためでもある
エンピツにするべきもの
相手に「判断を求めるもの」はエンピツにする
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日本語表現の揺れ、略称・愛称の使用の可否など
一概に決めつけられないものも少なくない
「もしこういった趣旨ならば」という指摘のしかたもある
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その場合、疑問に思った理由・根拠を伝えることが重要
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それを簡潔で的確に伝えることは難しい
初心者は、ここで大いに悩むし、時間もかかる
しかし自信を持って指摘するためには、避けて通れない
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疑問出しは、感想や印象を伝えるものではない
エンピツ出しで注意すること
上記と重なるが、赤字でも疑問出しでも、根拠を示すことが重要
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根拠となった資料等を、別紙として添付することが望ましい
受け取った側の判断の助けにもなる
誰にどう伝えるものなのか
校正は、校正記号を使えば伝えられる、というほど単純なものではない
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赤字にせよ、疑問出しにせよ、
指摘した理由や根拠を示すことが重要
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ある程度補足が長くなっても、致し方ない
別紙もそれなりの量になる
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簡潔に書く練習は必要
場合によっては、メール等で説明することもある